24日(月)から始まった「第91回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」のレースウィークもいよいよフィナーレを迎えた。決勝はバイク部門からスタート。四輪は午後からの走行だが、すでに前日から天候の崩れが心配され、チームではウェーザーマップとレースの進行状況を見ながら準備をすすめた。
天気予報は当たり、エレクトリック・ディビジョンの走行を前に雨が路面を濡らし始めた。一部雨足が強い部分があり出走はディレイとなったが、雨雲は早い速度で移動しながら始めにトップセクションを濡らし、スタート地点に雨粒が落ちるころにはトップセクションの雨は降り止んでいた。問題は、どれほどの雨が路面に残っているかだ。それによってタイヤ選択が、レインかカットスリックか変わってくる。
モンスター田嶋は、20年以上におよぶパイクスピーク・ヒルクライムへの参戦の中で何度か同じ状況を経験してきた。その結果、用意してあったカットスリックを選択。さらに追加でカットを施した。チームは慌ただしくタイヤの準備をし、マシンをスタートラインに並べた。
エレクトリック・ディビジョン最初の走者となったのは、予選トップ、三菱のトレイシー選手。タイムは10分23秒649を記録し、ひとまず、このタイムがベンチマークになる。続いてスタートしたのは、三菱の増岡選手。トレイシー選手を2秒弱逆転する10分21秒866で暫定首位に立った。
そして、モンスター田嶋がスタート。区間タイムでは前走の二人の記録を次々に塗り替えて行く。明らかに、そして圧倒的に速い!モンスター田嶋は、E-RUNNERパイクスピークスペシャルを手足の様に操り、場所によってグリップが違う難しい路面をクリアして行く。タイムは9分46秒530!ウェット混在路面でありながら、ドライだった昨年の優勝者に並ぶ驚異的なタイムでフィニッシュしたのだ。 続いてミレン選手がアタック。しかし、モンスター田嶋のタイムには及ばずフィニッシュラインを通過。この瞬間、チームに歓喜の輪が広がった。
今大会がスタートすると三菱勢が速く、3日間のプラクティスではその一角を崩すに止まり、決勝の闘いは全く予想のつかないものとなっていた。しかしながら、チームスタッフは最後まで努力を惜しまず働き、マシンを仕上げてきた。そして、特筆すべきは、モンスター田嶋の経験とテクニックだろう。これなくして今大会の勝利は無かったとさえ言える。
また来年、ライバル達はより強力なマシンを持ち込んでくるだろう。そして、より一層高いレベルの闘いになる。しかし、それこそが電気自動車の未来を切り開いて行くのだ。
今日は朝から天気が良く、行けると思っていたのですが、セバスチャン・ローブ選手が素晴らしいタイムをだしたあとからの雨で、記録への挑戦は終わってしまいました。
そこからは、エレクトリック部門の中で1位を取る事に集中しました。
路面は滑りやすく、多くのアクシデントが発生した厳しいコンディションでした。
しかし、エンジニアと相談して決めたセッティング内容が良く、結果的に、2011年に自分がガソリンカーで出したコースレコードを電気自動車で超えられたことは大きな喜びです。
今後もさらに熟成を進めて。究極の電気自動車を目指します。
応援ありがとうございました。
Pos. | No. | Driver | Car | LapTime |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | Nobuhiro Tajima | TAJIMA | 09:46.530 |
2 | 32 | Hiroshi Masuoka | MITSUBISHI | 10:21.866 |
3 | 34 | Greg Tracy | MITSUBISHI | 10:23.649 |
4 | 76 | Rod Millen | TOYOTA | 10:24.301 |
5 | 24 | Roy Richards | HONDA | 17:31.614 |
6 | 8 | Ikuo Hanawa | SUMMIT | DNF |
7 | 100 | Janis Horeliks | eO | DNF |
プラクティス3日目を終えた金曜日の夜、コロラドスプリングスのダウンタウンでは 「ファンフェスト」が開催された。例年、3万人を超える多くの観衆が訪れるが、今年は例年以上に多くの人たちが会場を訪れたようだ。
街のメインストリートは歩行者天国となり、予選上位のチームがレースカーの展示やサイン会をおこなった。
もちろん、「パイクスピーク・レジェンド」モンスター田嶋の人気は抜群で、サイン会には長蛇の列ができた。記念写真を撮ったり、沢山の激励の言葉を掛けていただいたり、モンスター田嶋もファンとの交流を楽しんだ。
日曜日の決勝では、ファンのためにも、優勝はもちろん堂々たる走りを披露したい。
「第91回 パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」は、プラクティス3日目を迎え、エレクトリック・ディビジョンは、ミドルセクションを走行した。
ミドルセクションは、3日間のプラクティスの中でも、タイムを出すことに関しては最も難しいセクションだと言えるだろう。標高3480mのグレンコブをスタートすると、ほどなく森林限界線を超え、あたりは低い草とむき出しの岩石が覆うようになる。標高3980mのデビルズプレイグランドまでつづら折れのコーナーが続くようになり、山の形に沿った緩いカーブの先には小さなヘアピンカーブが待ち受ける。マシンは急減速と急加速を繰り返しながら標高を上げて行く。
山の斜面に削り込まれた狭い道にはガードレールは最小限しかなく、普通の感覚であれば、レーシングスピードで駆け上がるなど考えられないコースだ。ドライバーの技術と勇気、そして信頼できるマシンの存在がより速く走るために欠かせない。モンスター田嶋は、20年以上にわたる同大会参戦経験を活かしアグレッシブにコースを攻め、E-RUNNER パイクスピークスペシャルは、スピードと信頼性で応えた。
3日間のプラクティスが終了し、ライバルとの力関係もほぼ判明した。トップタイムを奪うことはできなかったが、タイムは常に向上しており、その差は極めて小さいものになった。チームでは、決勝のスタートラインに並ぶまでさらなる改良をおこなっていく。
そして、パイクスピークの決勝の1本は、単純に3回のプラクティスの合計ではないことを忘れないようにしたい。156のコーナーを有する20kmの全コースを一気に走ることは、ドライバーとマシンに想像以上のストレスを与える。また、これまでのプラクティスは全て早朝に行われていたが、決勝では午後にかかり、路面温度なども全く違う。山の天候も変わりやすくなり雨が路面を濡らすことも珍しくない。場合によっては雹が降ることさえある。パイクスピークの頂点に立つことは、そう簡単なことではない。
決勝レースは、土曜日(29日)のメンテナンスデイを挟んで、日曜日(30日)に行われる。TEAM APEV with モンスタースポーツの活躍にご期待ください。
3日間のプラクティスが終わって、全コースのデータが揃いました。これから決勝のシミュレーションをしてしっかりと準備したいですね。全舗装のコース、新しいタイヤと改良されたマシーン、新しくなったことが多く有ります。今は、やればやるだけタイムに反映されて行くので、これをチームと共にスタートラインに並ぶ直前までやり続けるだけです。応援よろしくお願いします。
Pos. | No. | Driver | Car | Run1 | Run2 | Run3 | Run4 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 34 | Greg Tracy | MITSUBISHI | 2:45.75 | 2:28.16 | 2:27.06 | 2:25.86* |
2 | 1 | Nobuhiro Tajima | TAJIMA | DNS | 2:32.58 | 2:29.29 | 2:27.88* |
3 | 32 | Hiroshi Masuoka | MITSUBISHI | DNS | 3:07.34 | 2:30.56* | 2:30.61 |
4 | 76 | Rod Millen | TOYOTA | DNS | 2:34.35 | 2:32.84* | 2:33.38 |
5 | 100 | Janis Horeliks | eO | 2:46.56 | 2:48.60 | 2:45.96* | DNS |
6 | 8 | Ikuo Hanawa | SUMMIT | 2:57.25 | 2:54.68* | 2:56.40 | 2:55.61 |
7 | 24 | Roy Richards | HONDA | 3:38.73 | 3:29.15 | 3:26.02* | DNS |
「第91回 パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」は、プラクティス2日目を迎えた。エレクトリック・ディビジョンは、ボトムセクションを走行する。なお、この日の練習走行は予選を兼ねており、結果によってディビジョン内の出走順が決定される。
ボトムセクションは、三分割されたセクションの中では最長の8.9kmの距離があり、森林の中を縫うように走りながら徐々に標高を上げていく。パイク国立公園の美しい自然の中を走り抜けるコースは、ゼロエミッションの電気自動車に最も似合うステージだろう。
昨日のトップセクションで行われたプラクティスの結果を受けて、チームはサスペンションや空力をリセッティングし、この日の走行に臨んだ。全面舗装路となったパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムでは、他の舗装路をステージとする競技と同様に、タイヤをいかに活かすかが重視される。新タイヤが導入され軽量化が施された新しいパッケージは、より繊細なセッティングを要求している。しかしながら、その結果は徐々にかたちになってきた。
マシンの動きはよりスムーズになり、コーナーひとつひとつでタイムを詰めて行く。
ドライバーであるモンスター田嶋も、E-RUNNER パイクスピークスペシャルをより繊細に扱っているように見える。昨日あったライバルとのタイム差を大きく詰めることに成功し、決勝までの道筋が見えてきた。
明日28日は、難関のミドルセクションが待ち構えている。
曲率がきつい、つづら折れのコーナーが多数あり、森林限界点を一気に超えて標高を上げて行くため、動力系への負担が大きい。電気自動車では、ドライビングの面では電力消費量とパフォーマンスの兼ね合いがポイントになり、メカニカル面ではモーターや制御系の温度管理が焦点になるだろう。
今日の走行では大きな収穫がありました。
改良の方向が正しいことをタイムが証明してくれました。もう少しでライバルを超えられると確信しています。電気自動車ですので走行回数が限られるのが残念ですね。
今回も3回の走行枠がありましたが私達は2回しか走れませんでした。もう1回走れればもっとタイムアップできます。走れば走るほど良くなっていますので。
Pos. | No. | Driver | Car | Run1 | Run2 | Run3 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 34 | Greg Tracy | MITSUBISHI | 4:01.762 | 3:56.287* | DNS |
2 | 32 | Hiroshi Masuoka | MITSUBISHI | 4:00.847 | 4:00.518 | 3:57.777* |
3 | 1 | Nobuhiro Tajima | TAJIMA | DNS | 4:00.593 | 3:58.189* |
4 | 76 | Rod Millen | TOYOTA | 4:06.652 | 4:04.331* | DNS |
5 | 100 | Janis Horeliks | eO | 4:27.199 | 4:19.488* | 4:19.938 |
6 | 8 | Ikuo Hanawa | SUMMIT | 4:46.817 | 4:46.789* | DNS |
7 | 24 | Roy Richards | HONDA | 5:54.570 | 5:29.430 | 5:28.018* |
世界最大のヒルクライムとして、アメリカのみならずヨーロッパや日本でも多くの注目を集める「第91回 パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」が開幕した。1916年の初開催以来、連綿と続いてきた伝統のイベントだが、昨年から全コースが舗装されリフレッシュされた。パイクスピーク・ヒルクライム第二章、2年目の闘いが、今、始まる。
30日の決勝に向けて、今日からの3日間、コースを3つに分割しプラクティス(練習)がおこなわれる。TEAM APEV with モンスタースポーツが参加するエレクトリック・ディビジョンは、水曜日:トップセクション、木曜日:ボトムセクション、金曜日:ミドルセクションの順に走行をおこない、この中で予選に該当するのは木曜日のボトムセクションとなる。
チームでは、今年から新たなタイヤサプライヤーとしてGiTiタイヤ(本社:シンガポール)とのパートナーシップを結び、タイヤ開発をおこないながらレースウィークを迎えた。昨日の公式練習、そして3日間のプラクティスを通じて、この新しいタイヤに合わせてサスペンションを中心としたセッティング作業を行っていく。 国内テストでは好感触を得ていたが、初めてコンタクトするパイクスピークのコースとGiTiタイヤの相性はどうだろうか。
プラクティス1日目の舞台、トップセクションは、スタート地点となるデビルズプレイグラウンドの標高がすでに3890mに達しており、4300mの山頂に向けて尾根づたいのコースを走る。
非常にスピードが乗るだけに経験が活きるコースだ。
午前5時30分に走行スタート。
E-RUNNER パイクスピークスペシャルを駆るモンスター田嶋は、今年のコースの全情報を漏らす事無く得ようとするかのように丁寧に3回走行し、多くの情報を得た。現時点でのタイムはあくまでも参考程度。チームでは、昨年のデータとも照らし合わせながら分析し、30日の決勝に照準を合わせセッティングを煮詰めて行く。
明日28日は、ボトムセクションを走る。予選を兼ねるため大事な一日となるだろう。
2013年モデルのE-RUNNER パイクスピークスペシャルは、大幅な軽量化を達成したことで軽快に動くようになりました。
また、タイヤもシンガポールのGiTiタイヤと共に開発をおこない、パイクスピーク専用の20インチスリックタイヤを用意してもらいましたので、昨年取り逃がした優勝を狙う準備は整いました。
あとは実際のコースに合わせて、セッティングを煮詰めていくだけです。
今日のプラクティスでも、良い所やまだ足りない所、合わせて多くのデータを取る事ができました。決勝レースに期待してください。
Pos. | No. | Driver | Car | Run1 | Run2 | Run3 | Run4 | Run5 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 34 | Greg Tracy | MITSUBISHI | 2:37.95 | 2:33.56 | 2:30.66 | 2:28.15* | -- |
2 | 32 | Hiroshi Masuoka | MITSUBISHI | -- | 2:48.69 | 2:36.65 | 2:34.23 | 2:32.40* |
3 | 1 | Nobuhiro Tajima | TAJIMA | 2:42.92 | 2:39.45 | 2:36.20* | -- | -- |
4 | 76 | Rod Millen | TOYOTA | 2:47.00 | 2:41.30 | 2:39.75 | 2:39.76 | 2:37.44* |
5 | 100 | Janis Horeliks | eO | 2:46.77* | 3:01.88 | -- | -- | -- |
6 | 8 | Ikuo Hanawa | SUMMIT | 3:06:85 | 3:05.07 | 3:02.53* | -- | -- |
7 | 24 | Roy Richards | HONDA | 3:47.96 | 3:40.56 | -- | 3:35.79* | -- |